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軌道暦311年(きどうれき311ねん)
[O.E.]Orbital Era(オービタル・イラ)「軌道暦」の意味。
人類がその生活圏の中心を、地球から軌道−月系に移したことを記念して改められた。
資源の枯渇と大規模な環境破壊により、地球は100億人を突破した人口を維持することができなくなりつつあった。
人類は、地球環境の保全と回復をその総意によって決断する。
だが、そのためには長期間にわたって、人口の大半が地球から退去し、宇宙で生き延びなければならない。
月は、その低重力環境ゆえに人間が長期生活するには不向きであり、火星は、大量の人間を移住させるにはあまりにも遠過ぎた。
そして月、火星ともに、大気や気温、放射線の問題をクリアするためには大規模な環境改変が必要である。
人類は宇宙で暮らしていくために、地球に近い軌道上に、地球に等しい物理環境を備えた巨大な宇宙ステーション、すなわちスペースコロニーを建造して、そこで生活するようになる。
スペースコロニーとは、多数の人間が宇宙で暮らすための施設である。
宇宙船や宇宙ステーションと違い、空気や水、食料など生命の維持に必要な物資は、すべてコロニー内部で生産される。
それらを循環・再生することにより、長期間にわたって人々が快適に暮らせるようコントロールされている。
巨大な円筒形のコロニーの中には美しい森や湖もあり、地球の自然がそっくりそのまま再現されているので、まるで地上にいるのと同じように生活することができるのだ。
各ラグランジュポイントのコロニー郡は「ストラクチャー」と呼ばれ、複数の「アーキペラゴ」で構成されている。
右上の図のように「アーキペラゴ」は基本的に7基の円筒構造物「アイランド」が連結した姿であり、太陽エネルギーを受けるパワープラントアイランドを中心に、6基の居住商用都市アイランドで構成されている。
カークウッドストラクチャー (ストラクチャー) |
6号島 (アーキペラゴ) |
私立スール学園 (アイランド) |
ヒロイン秋葉の通う学校の所在地は上記のように
「カークウッドストラクチャー 6号島 私立スール学園」となる。
■各ラグランジュポイントの
成り立ち
L1 ウーレ人民共和圏
……中国・インド
L2 ライエ合衆圏
……南北アメリカ
L3 ダリバール共同圏
……EU・東欧・ロシア
L4 エレンバーグ連合圏
……イスラエル・中東・アフリカ
L5 カークウッド共栄圏
……日本・アジア諸国・オーストラリア
最高意志決定機関はL1〜L5の代表からなる「OU(オービタル・ユニオン)議会」。
次いで、各ラグランジュポイントの政府、次いで各ストラクチャー自治体となる。
法律、税率などは各ラグランジュポイント政府によって決定されるが、その他の細かい決まりなどは各ストラクチャー単位の自治に委ねられている。
「クォンタム・テレシス※」
イメージで現実に干渉する力。イメージの力。イメージを具現化する力。
※テレシス telesis(知的な努力の適用による)目的達成、進歩。
QTアームズに対応出来る資質をQTという。QT能力者が心で強く思えばQTアームズは動くのである。厳密には「QTアンプリファイヤー」と呼ばれるデバイスによって、その能力がより安定かつ継続的に発現されるようになっている。
QTの資質に関しては、血液型のチェックなどの際に、任意で調べることが可能で、QTの反応が出た場合には、行政機関に届出の義務があり、QT能力者として登録される。
しかし、QT増幅器のついた乗り物は法律上「兵器扱い」となっており、製造、保持は原則禁止となっているので一般社会人にはQT能力を活かす場は基本的に無い(そのため、QT能力の有無はさほど気にされていない)。ICPでQTアームズのパイロットになるのは稀有な例といえる。
「クァンタム・エンジニアリング・テクノロジー」
素粒子工学技術(Quantum Engineering Technology)
かつて獅子堂グループの技術陣が、従来の微細工学(ナノ・エンジニアリング)をはるかに超越した素粒子工学技術(クォンタム・エンジニアリング・テクノロジー/QET)を工業レベルで実用化することに成功した。
QETは、人類の文明に突破点(ブレイク・スルー)をもたらし、それまでは不可能と考えられてきたようなさまざまな超技術が、QETにより可能となった。
エネルギー問題や素材工学のハードルは瞬く間にクリアーされ、宇宙への移住の足枷となっていたスペースコロニーの大量生産、さらに数十億の人口をそこに運ぶための宇宙船の建造といった問題は解決し、人類は本格的な宇宙移民時代を迎えることになる。
獅子堂グループは当初、独占的にQETを支配していたが、やがて、他の企業もそれぞれの独自の手法でこの技術を習得した。その結果、人類文明全体に広くQETが普及するようになっている。それでも、最初にQETの工業化に成功した獅子堂のリーディング・カンパニーとしての優位が揺らぐことはなく、現在でも人類文明最強最大の企業として君臨している。