第22話「冥い旅路」
2009.06.01 OnAir
イモちゃんの助けで、なんとかクサンチッペから脱出できて、いつきちゃんたちとも再会できたんですけれど、アタシは全然、うれしいとかよかったという気持ちになれません。最初はウソだと思いました。いつきちゃんや生徒会長さんがイジワルしてるんだとも思いました。
……イモちゃんが死んだなんて。アタシやカークウッドのみんなを助けるためにウーレのミサイルに向かって行ったなんて。あんなに仲良しだったのに、あんなに一緒だったのに、楽しいことも悲しいこともみんな分け合ってきたのに……。
ネルヴァルはミサイルを発射した月の基地を氷漬けにしたらしいですが、その時のアタシにはどうでもいいことでした。
泣きじゃくるアタシを連れてカークウッドへ潜入したいつきちゃんや生徒会長さんが見たのは、カークウッドの地下に作られた箱人間リサイクル工場。そこでは獅子堂宗家の賀統さんたちが一人でも多くの人を救おうとしていたの。
以前から「えにぐま同盟」を組織して箱人間に紛れ、ネルヴァルの動向を探っていたんですって。
だけど、箱から救出されても、箱に心を奪われてしまった人たちは、箱を欲しがるだけ……。たしかに、つらい事や悲しい想いを忘れられるなら、アタシももう一度、箱に入ってもいいかな、そんな気持ちになっていたの。
だからクサンチッペに襲撃されても、突然ベンケイがワープしてきたり、高嶺お姉ちゃんが現れて助けてくれたりしても、アタシはただ手を引かれるままに逃げて、うつむいて泣いているだけでした。

脚本:森田 繁/コンテ:まついひとゆき/演出:安藤正臣/
作画監督(キャラ・メカ):しんぼたくろう・高瀬健一