お名前と役職、簡単なプロフィールをお願いいたします。
大河 メカデザインの大河広行です。代表作は「機動戦士ガンダムSEED」になります。アニメの「トランスフォーマー」などにも関わっていたりします。実は初めてアニメの仕事をしたのは「機動戦士Zガンダム」の動画マンなので年齢などはお察し下さい(笑)。
「宇宙をかける少女」では車や小物、カークウッドやステーションのディテールなどを担当しています。
ディテールといいますと具体的には?
大河 アイランド間を繋いでいる高速道路のようなジャンクションやステーション、アイランドに出入りするための通路などですね。まさか実在のスポンサー名が入るとは思いませんでしたが、アイランド間のロードに広告が掲示されているのも描きました。コロニー世界が舞台とはいっても「ガンダム」とは異なる、「そらかけ」ならではの、あっけらかんとした雰囲気が出せたと思います。
スクールバスや、その発着場、その機能なども?
大河 発着ポートも上段は乗用車サイズ、下段はバスやトラックなどの航行ユニット装着の機体と分かれていて、アイランドの外壁の中にもジャンクションが張り巡らしてある設定なんです。
これも本編では描かれていませんが、ロードを移動する自動車は、本来は単にアイランドから放り出されて慣性で移動しているだけなんです。秋葉はよくやらかしていますが、本当はロード以外は進入禁止の「アウト・オブ・ロード」なんですよ。だけど、バスやトラックなどは、となりのアーキペラゴや、2〜3つ飛ばしたアイランドへも航行できるように航行ユニットを外付けにしているんです。
そのような文芸設定の部分も御担当しているんですね。
大河自分から、こんな風にすると面白いんじゃないかという部分を提案したり、小原監督から相談されたものを考えたりと、色々ですね。
かなり広い範囲を手がけているようですが?
大河 実は、秋葉やほのかのQテクターのデザインは僕なんです。いつきやブーミンのハイレグ系Qテクターのデザインは、キャラクターデザインの椛島さんなんですが、モコモコして首の周りが覆われている秋葉たちのQテクターは僕が描きました。古い時代のQテクターという設定だからというのもあるんですが、僕と椛島さんの趣味の違いが解かるデザインですよね(笑)。
あとは「えにぐま」に飾ってあるジャズのレコードジャケットなどかな。青木さんが店内を設定して、飾るレコードジャケットは僕の担当。監督から昭和のジャズ喫茶のイメージというオーダーだったんです。僕自身、ジャズのファンだから、知っている人なら元ネタがわかってニヤニヤできるのを狙ってます。ぶっちゃけ好みで選んでるんですが(笑)。
さて、青木智由紀さんに、お話をうかがいたいと思います。
青木 セットデザイン担当の青木智由紀です。主にコロニーの内部などのセットデザインをやっています。「FREEDOM」では世界観設定や、「舞-HiME」でアリッサのチャイルド・アルテミスのデザインなどもやっています。
美術とは微妙に異なるお仕事なんでしょうか?
青木 美術さんが描く前の段階にあたる、いわば建物の設計をする仕事です。獅子堂の屋敷やスール学園、レオパルドルームなどを担当しています。特にレオハルドルームは最初に宮武一貴さんのラフ画があって、そこから色んな芝居ができるように小原監督と意見をキャッチボールしながら作っていったので思い出深いですね。実はあの部屋は、日常的な装飾が少なくて、広さや狭さの感覚が表現しずらかったので苦労しているんですよ。
それと、極端に寄ったときのレオパルド・コロニーの外壁などもやっています。レオパルドが変り者なので、外壁でも個性が出せたらなと、頭を悩ませました。
セットデザインをするにあたってのご苦労は他にもございましたか?
青木 ミッドセンチュリー的な獅子堂の屋敷や、近代建築のスール学園、東欧を意識したレオパルドの中の街並み、月面都市の宇宙建築など、場所が変わると建造物の質が変わるといった作品だったので、自分の中の「引き出し」を試すようなところがありました。
特にレオパルド内の街並みについては、別件でヨーロッパに行ったところ、見ないで描いていたディテールなどが結構、合っていて面白かったですね。
私もセットデザインに、実在の建築デザイン的な要素を紛れ込ませたりしていますんで、わかる人に気づいてもらえると嬉しいです。