「そらかけ」で青木さんが会心のセットデザインだと思うのは?
青木 キュビズムのシルエットが色濃く出せたレオパルド内の街並みは上手くいきましたね。悩みながら描いていたら、ある時、インスピレーションが降りてきてサラサラ描けちゃったんです。小原監督にも気に入ってもらえて、一時期は監督と「このカーブが良い」などと盛り上がっていました。
そして、個人的に好きなのは「ゴールデンオーブの部屋」なんです(笑)。これは大河さんとの合作になるんですが、不思議な縄文模様のようなものが刻んである部屋で……。
ゴールデンオーブや、それをぶら下げているヤツは僕の担当(笑)。
大河さんとは、他作品でも一緒になることが多いんですが、私がメカを描いて、大河さんが背景を描く場合など入れ替わることもあるんです。どちらが何を描いているかゴッチャになることもあるんですが、こういうとんでもないモノができるのが楽しいですよね。本当にゴールデンオーブの部屋に関しては、シナリオの段階から、どんなシロモノになるのか楽しみだったんですよ(笑)。
大河もっと環境コントロールシステム的なSFメカなデザインで進めていたんですが、やればやるほど「そらかけ」の世界からは離れていってしまう。で、行き詰って金○にしたら、それが見事にハマった(笑)。
青木 あの部屋は好きです(笑)。大河×青木合作の代表作です。
ほかにも、「そらかけ」では、実際に作ってみたい建物がありますね。
作るといいますと?
大河青木さんは、紙で「出撃!マシンロボレスキュー」の基地の模型を作ってしまう人ですから(笑)。あれ、現場でムチャクチャ役に立ちましたよ。
青木 立体物があると嬉しくなるんですよね。最近は時間が無くて作れませんけど(笑)。
「そらかけ」で印象深い場面は?
大河 やはり第1話の冒頭ですね。秋葉が車に乗って逃げ出し、そのまま外に出て眼の前に宇宙が広がる場面。これまで他作品で描かれてきたコロニー世界とは違う、「宇宙をかける少女」のコロニー世界が始まる印象的な場面です。ここは追加カットが入った映像ソフト版で視た方が良いですよ(笑)。
実は、あの場面には演出上のウソがあるんです。秋葉の車はアイランドの下側から飛び出して、目標のアイランドを見上げる位置で進んでいくのが本当なんですが、僕は物語のプロローグとして、眼の前に宇宙が広がる爽快感が欲しかった。自分で発着場とか設定して描いているんですがね。そこは設定より演出を優先させたところです。そういう思いがこもっている場面なんです。
私も第1話が好きですね。レオパルドと秋葉が出会う場面が好きなんです。暗い街並みに路面電車が走ってきて、たどり着いた先にレオパルドが居る。なんともいえない空気がたまらないんです。
今、「そらかけ」を総括すると?
大河ワル乗り(笑)。良くも悪くも小原監督の個性が出た作品だと思いますね。
青木変化球を投げたがる人なので、たまに「どこに向かって行くんですか〜」というのはありました(笑)。普通なら考えつかないコトを思いついてくる。
大河「コロニーが主役!」というところで(笑)。
最初、ナニを言っているのか分からなかった(笑)。
最後に、今だから話せる「そらかけ」の秘密などは?
大河実は交換日記の「ごめんムリ」の文字はオーデションをやってるんですよ。で、あの秋葉が書いた「ごめんムリ」は僕の字なんです。
青木 スキャンして、そのまま使ってますよね(笑)。