お名前をお願いいたします。
樋口樋口達人です。
「宇宙をかける少女」以前の代表作は?
樋口「舞-乙HiME0〜s.ifr〜」シリーズ構成
漫画版「舞-乙HiME」、同「舞-乙HiME Zwei」脚本。
「宇宙をかける少女」での役職は?
樋口前半はチーフライター、後半はシリーズ構成です。
それは具体的に、どのようなお仕事ですか?
樋口ストーリーの流れを組み立てつつ、各話でのキャラクターの統一性を測り、ドラマの全体を統括する仕事でしょうか。
私は、各話のライターさんに助けられてばかりでした……。
それ以外にも実はこんなトコロもやっているんだよ。という部分がありましたら教えて下さい。
樋口QTアームズを初めとするメカニックの名称、組織や人名から、各種設定、年表諸々も考えさせていただきました。
そもそも「宇宙をかける少女」にお関わりになったきっかけは?
樋口サンライズ第8スタジオの古里プロデューサーに漫画版「舞-乙HiME」で声をかけていただき、「舞-乙HiME0〜s.ifr〜」では構成も担当させていただきました。
その流れで「宇宙をかける少女」にも参加させていただくことになった次第です。
その時の「宇宙をかける少女」の第一印象は?
樋口色んな意味で「スケールがでかい話になりそうなぁ」と思いました。
御自身の仕事で上手くいったと思える部分は?
樋口第12話などの危機的展開の熱い盛り上げ……と書きたいところですが、好評なのはギャグの部分です。
首無し甲冑に慰められるいつきなどは色んな所から受けが良かったです。
「ここが良いじゃん」と思わずニコニコしてしまう部分は?
樋口可愛いキャラクターと、ガチガチのメカアクションの対比。そのメリハリと、それらを全部レオパルドが台無しにしてしまうところでしょうか。
作業的にはかどったキャラクターや場面は?
樋口秋葉、いつきは描いていて楽しかったのですが、筆が進んだのはほのかとナミです。
暗くて辛い過去を背負っている無口な少女と、世の中の全てを辛いものとしか感じられない妹。いいですねぇ。
好きなキャラクターや場面を教えてください。
樋口ナミとマドカのやりとりは、書いていて楽しかったです。
あとは携帯虫にナミが襲われるところ、かな。ああ、ナミばっかりだ。
今、「楽しかったな」と思い出すのは?
樋口毎話数のネタ出しは、大変ながらとても楽しいものでした。各話のライターさんのおかげで、宇宙全体を舞台にしたお話しが作れたと思っています。
しかしながら、ラスト数本はなかなかに難産で、本読みが終わる度にライターの皆さんと飲みに行って色々話を聞いてもらいました。おかげで肝臓が少々危険な事になってお りますが、これもいい思い出です。
脚本家として苦手なキャラは誰?
樋口馬場つつじ……ですね。あの内面の複雑さは想像以上の強敵でした。
彼女のセリフは、小原監督が最も上手に書けます。
観ていて苦手だなと思うキャラクターは?
樋口クサンチッペとつつじ……かな。下手なことを口走るとムチで打たれそうなので。
「ここが『宇宙をかける少女』を象徴する場面」だと思うのは?
樋口やはりソウルシャウツの発射シーンですね。そこに至るまでに必ず秋葉とレオパルドのドラマが入りますし、ピンチを乗り越
て「人間」と「人工知能」が「繋がる」、象徴的なシーンだと思います。
野村さんにお願いした第18話の「オカエリレオパルド」のお話しは、それらが凝縮されたエピソードではないでしょうか。
なぜかスムースに進んだ、と思い出すのは?
樋口第9話「Q速∞」でしょうか……。なんか、書いていて凄く楽しかったです。
逆に手間が掛かった、と思い出すのは?
樋口ラストに至る神楽と秋葉の関係性など……でしょうか。
あとはつつじ全般です(笑)。
フィルムにはならなかったけれど、トンデモで没なアイデアなどは?
樋口実は一時、「レオパルド人間体」が出てくる流れでした。
そのアイデアが二転三転して生まれたのが「ハコちゃん」です。
「宇宙をかける少女」は、なにをしようと思って、なにができた作品でしたか?
樋口「宇宙をかける少女」は初期段階から秋葉とレオパルド、そしてコロニー世界というキーワードが揃っており、「少女」と「機械」の交流という、ある意味SFではスタンダードなテーマを描いた作品だったと考えています。
元々私自身、SF小説を読んで育った人間なので、小原監督が目指したもの、世界を生み出すお手伝いは出来たかな? と今では思います。
最後に「そらかけ」ファンにメッセージを!
樋口「宇宙をかける少女」は今のアニメ界を見わたしても珍しい「SF作品」であり、
希有の「オリジナリティ」を持った作品だったと思います。
スタッフ全員が渾身の力で作ったこの作品が、観て下さった皆さんの心の片隅に少しでも何かを残せたら、それに勝る幸せはありません。
「宇宙をかける少女」を観ていただいた皆さんに、最大限の感謝を!